「紙製容器リサイクル 業界の動き」
平成10年6月12日の「日経新聞」によると、「王子製紙、石川島播磨重工業、新日本製鉄など七社は2000年4月(平成12年)から、リサイクルが義務付けられる紙製包装容器の再利用のための技術システムを開発する企業連合を結成した」と報じ、参加を呼び掛けている。
具体的なシステムづくりでは、
2000年までに実用化のメドを付ける考え、だといっている。周知のとおり97年に施行された「容器包装リサイクル法」では、2000年から完全施行されることになっている。「PETポトル以外のプラスチック製容器包装」及び「飲料用紙製容器以外の紙製容器包装」が加わるほか、現在再商品化義務の履行を猶予されている一定規模の事業者についても義務の履行が求められる。リサイクルがメ−カ−、利用者の義務となる。これらの容器はコンビニエンスストア、ス−パ−向け食品などに普及し、年間3百万トン排出されている。いまのところ、分別収集や再商品化基準などの細目が決まっていないから、2000年に向けてリサイクル事業を始める動きとして注目されているのである。 以下は、「容器包装リサイクル法の完全施行に向けての考え方(案)」として産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会第11回容器包装リサイクル小委員会」で配布された資料を当京都府紙器段ボール箱工業組合事務局で要約したものである。 再商品化方法の基本的考え方 容器包装の再商品化(リサイクル)に際しては、「まず、第1に、廃棄物の発生の抑制、第2に、使用製品の再使用、第3に回収されたものを原材料として利用するリサイクルを行う」ということである。このことが、技術的に困難な場合や環境への負荷が著しい場合は、環境保全対策に万全を期しつつ、エネルギ−(燃料)としての利用を推進することが基本となっている。 平成12年度から対象となる、いわゆる「プラスチック製紙容器」及び「紙箱等紙製容器包装」についてもこの基本的考えかたに即して取り組みがなされるのである。まず原材料として利用するリサイクルを行い、これが困難な場合エネルギ−としての利用の検討がなされるべきである。そうはいっても、省エネルギ−、生活環境の保全の観点、一定の再商品化量の確保、社会的・経済的コストを考慮したシステムの構築が望まれるのである。 原材料として利用するにしても、対象となるプラスチック製容器包装は、多種多様である。再利用を考慮した素材の使用の研究もされてはいるが、さまざまな形状、用途からなっているため、再利用に際して種類(素材)ごとに分別が必要となる。しかしながら、消費者に対して分別排出がどの程度期待できるのか、市町村の分別収集における消費者、市町村の負担を考えると、更に細かな分別を求めることは困難であるという指摘がなされている。 プラスチック製容器包装の再資源化多種多様な素材、形状から成るプラスチック製容器包装の材料リサイクルは、相当程度の精度の高い分別作業が必要であり、異物の混入が避けられないから、高品質を要求される製品には対応できないこと、高分子であるプラスチックの材料リサイクルにより品質の劣化が避けられないこと、製品需要の確保が困難なため多量のプラスチック製容器包装のリサイクルにも適していないことといった課題がある。 また、リサイクル原料そのまま材料として利用するのではなく、油化、高炉還元法、ガス化など、いわゆるケミカル・リサイクルについては、多量の処分が可能であることや、材料リサイクルほどきめ細かな分別を要しないことから、プラスチック製容器包装のリサイクルにおいて主たる役割を担うことが期待されているが、経済性、技術的可能性等各種の要素について総合的な評価が必要とされている。したがって、現在行なわれている材料リサイクルを優先的に行い、拡大させていくとともに、ケミカル・リサイクルについては、現段階では特定の方法に限定することなく、長期的技術開発、環境負荷等の観点から弾力的に対応すべきであるとされている。この場合、リサイクルの義務を負う事業者にとり、材料リサイクル(プラスチックからプラスチック、紙から紙に利用するなど、材料としてそのまま利用するためのリサイクル)がケミカル・リサイクルに比較して費用負担等で不利にならないような制度設計が考慮されるべきである。 また、原則的には、マテリアル・リサイクル(広義の材料リサイクル)を採用することとし、サ−マル・リサイクル(熱を回収することにより、リサイクル利用をはかるもの。例、固形燃料化等)については、プラスチック製容器包装の分別収集量と再資源化能力との間に相当程度の乖離がある等の場合に熱の回収効率、規模、生活環境保全等の観点から高度な利用が可能なもの等、何らかの留保条件を付して慎重に検討すべきである。 なお、材料リサイクルの可能性を追求し、効果的なプラスチック製容器包装のリサイクルを行なうとともに、消費者への適切な情報提供等のため、材質の表示についても検討を進めることが必要である。 紙箱等紙製容器包装の再商品化 わが国では、製紙原料としての古紙の利用量は年々増大している。古紙利用率が世界的にもかなり高い水準にある。古紙は品種によって製紙原料として利用される際の用途が異なり、例えば段ボ−ル古紙は主に段ボ−ル原紙となり、雑誌古紙(週刊誌等)は主に紙箱等の紙器用の板紙の原料となっている。紙箱等紙製容器包装は、古紙としての利用が繰り返されて紙の繊維の劣化・微細化が進んだもの、又はプラスチック、アルミニュウム等との複合材であるものが多く、材料リサイクルが困難であり、現状ではほとんどが廃棄物としてリサイクルされずに処理されている。 一方、リサイクル意識の高まり等により、雑誌古紙を中心とした古紙の余剰が社会的な問題となっている。雑誌古紙は、紙箱等紙製容器包装の原材料となっており、仮に紙箱等紙製容器包装を再び紙箱等紙製容器包装にリサイクルした場合、その分だけ雑誌古紙のはけ口がなくなることになり、古紙の余剰は更に悪化することが懸念される。したがって、紙から紙へのマテリアル・リサイクル及び紙から紙以外へのマテリアル・リサイクルは、可能な限り推進すべきではあるが、紙箱等紙製容器包装のマテリアル・リサイクルは、需要の拡大、コスト等経済的、技術的な課題が多く、相当程度困難であると考えられる。 余剰となった雑誌古紙等による固形燃料化は、地球温暖化問題においても、再生可能な資源の利用と位置づけられていることから、紙箱等紙製容器包装のサ−マル・リサイクルについても温暖化対策の観点からは許容され得ると考えられる。ただし、この場合でも、熱の回収効率、規模、生活環境保全等の観点から高度な利用が可能なもの等、何らかの留保条件を付して慎重に検討すべきと考えられる。 分別について基本的な考え方 現在、容器包装廃棄物は、消費者による分別排出の容易さ、分別排出が消費者意識に定着していること、一部廃棄物については分別収集することによって有償又は無償で譲渡できる等の様々な理由により分別収集、リサイクルが行なわれている。今後、分別を更にきめ細かく行なうことが材料リサイクルを進める上では望ましいとの意見もあるが、消費者、市町村への負担の増加等の観点から、平成12年における容器包装廃棄物の分別区分は、現在の分別区分を引き続き踏襲すべきものと考える。その際、これまで行なわれている分別収集・リサイクルを後退させないことにも配慮すべきである。 プラスチック製容器包装 プラスチック製容器包装については分別収集、リサイクルは行なわれておらず、消費者、市町村への負担の増加、想定される再商品化方法等を考えると平成12年以降も基本的には現在の分別区分( 「PETポトル」及び「PETポトル以外のプラスチック製容器包装」)を踏襲すべきと考えられる。 なお、発泡スチロ−ルトレ−等については、現在も一部市町村、事業者によって分別収集、リサイクルされている。しかしながら、発泡スチロ−ルトレ−等の分別区分を設けることは、市町村にとっては分別区分が細かくなることによる負担が増すこと及び現状では材料リサイクルの能力に限界があることから、分別区分は当面PETポトルとPETポトル以外のプラスチック製容器包装とすることとする。 ただし、これまでリサイクルが行なわれている分野を後退させないためにも、プラスチック製容器包装の中において市町村による発泡スチロ−ルトレ−等を分別収集するかどうかは市町村の選択に委ねることとし、集まった発泡スチロ−ルトレ−等については優先的に材料リサイクルされるようにすべきである。この場合、リサイクルを行う事業者にとり、材料リサイクルがケミカル・リサイクルに比較し、費用負担等で不利にならないような制度設計に配慮すべきである。 紙箱等紙製容器包装 消費者、市町村への負担の増加、想定される再商品化方法を踏まえると平成12年以降も現在の分別区分(「飲料用紙製容器包装」、「段ボ−ル」、「紙箱等紙製容器包装」)を踏襲すべきと考えられる。なお、その際、更なる余剰古紙が生じないよう、また、既存のリサイクルシステムに悪影響がないように配慮する必要がある。 その他 特定事業者の義務の適切な履行の確保特定事業者の義務の適切な履行の確保するためには、義務履行者と義務不履行者との間において、コストの負担等の差により市場において不公平な競争状態が生じないようにすることが必要不可欠である。このため、義務不履行者をチェックするために、現在、地方通商産業局等により特定事業者に対する報告徴収、立入検査を実施し対応している。 平成12年度からは、対象事業者が現代の500社程度から約20万社に大幅に拡大すると想定されるとともに、再商品化義務の対象として、プラスチック製容器包装及び紙箱等紙製容器包装が加わることにより対象商品が莫大な数になることから、義務の適切な履行を確保するため新たな対応が必要である。 これらリサイクルに対応する体制整備をするに当たっては社会的にみて効率的な仕組みとすることが必要であり、市場調査、義務履行者についての表示制度等の情報提供等の海外事例も参考にしつつ、有効な手法について検討を行う必要がある。 普及啓発 平成12年からの特定事業者の大部分は中小企業事業者となるが、現状ではこれらの中小企業事業者に対して容器包装リサイクル法の内容が十分に周知徹底されていないため、関係機関との連携のもと、積極的な普及啓発活動を行う必要がある。 指定法人の的確な業務の推進 指定法人の業務については、平成12年度以降対象となる事業者、容器の種類の増大に対応して円滑かつ効果的な業務を行うことが必要であるとともに、プラスチック製容器包装、紙製容器包装といっ在確立されていないリサイクルシステムへの対応が求められる。このため、入札制度を含めた再商品化事業の在り方についての検討が必要である。 |